Amazonギフト券の勘定科目はこれ!用途別8つの仕訳ルールを徹底解説
Amazonギフト券はビジネスシーンで多目的に利用されますが、「どの勘定科目を使えばいいのか」と迷う方が非常に多いです。結論から言うと、ギフト券の勘定科目はその用途によって異なります。
この記事では、Amazonギフト券の購入から利用、もらい受けた場合まで、8つのケースに分けて適切な勘定科目と具体的な仕訳ルールを分かりやすく解説します。この記事を読めば、もう経理処理に迷うことはありません。
Amazonギフト券の基本と会計上の位置づけ
Amazonギフト券はプリペイドカードや商品券と同様に扱われます。その性質上、購入時点では費用ではなく資産として計上するのが原則です。
資産計上する際の基本科目「貯蔵品」
現金同等物であるAmazonギフト券は、購入してもすぐに費用にはなりません。将来的に使用される資産として、一時的に勘定科目「貯蔵品」で処理するのが最も正確です。特に期末に未使用分が残っている場合は、必ず貯蔵品として資産に振り替える必要があります。
少額かつ短期間での使用が見込まれる場合
ただし、購入後すぐに消耗品として使用することが確定しており、金額も少額であれば、購入時に「消耗品費」や「雑費」として処理することも認められる場合があります。この例外処理を採用するかどうかは、会社の経理方針と金額の重要性によります。
ギフト券は非課税仕入れか
Amazonギフト券の購入自体は、消費税法上「金券の購入」にあたるため、非課税仕入れとなります。実際にギフト券を使用して商品やサービスを購入した際に、消費税の課税対象となります。
ギフト券は購入時には原則「貯蔵品」として計上し、使用目的が確定している場合や少額の場合は例外的に費用計上できると理解しましょう。
社内で使用するための購入(備品・消耗品)
事業活動に必要な備品購入のためにAmazonギフト券を充当する場合、使用時に費用として計上します。
購入時には貯蔵品、使用時に消耗品費へ振替
Amazonギフト券をあらかじめ購入し、事務用品やPC周辺機器など社内消耗品に利用する場合、購入時は「貯蔵品」として計上します。そして、実際にギフト券を使用して経費が発生した時点で、「消耗品費」などの適切な費用科目に振り替えます。
すぐに使用する場合は雑費・消耗品費
購入したギフト券を間を置かずに(例えば同じ会計期間内)すぐに消耗品購入に使うことが明白で、かつ少額である場合は、購入時に直接「消耗品費」として処理することも可能です。ただし、経理処理を統一するため、原則の「貯蔵品」を利用することが推奨されます。
社内での使用が目的であっても、購入時と使用時で処理が分かれることに注意し、確実に「消耗品費」に計上するタイミングを把握しましょう。
従業員へのインセンティブとしての付与
従業員への報奨や手当としてAmazonギフト券を支給する場合、その金額や支給方法によって勘定科目が変わります。
全従業員への福利厚生目的の場合
創立記念や永年勤続など、全従業員を対象とした一定の基準で支給される少額のギフト券は、「福利厚生費」として処理できます。ただし、換金性が高いギフト券の場合、社会通念上妥当な金額(少額)であることが重要です。
特定の成果に対する報奨の場合
営業成績優秀者への報奨など、特定の個人に対するインセンティブとして支給する場合、これは実質的に給与の一部とみなされます。この場合は「給与手当」として処理し、源泉徴収の対象となるため注意が必要です。
従業員への付与では、福利厚生費か給与手当かの判断が重要です。公平性や支給基準を満たしているかを確認し、適切な勘定科目を適用しましょう。
取引先や顧客への贈答品としての利用
ビジネス上の関係維持や、儀礼的な贈答としてAmazonギフト券を利用する場合、その費用は交際費となります。
勘定科目は原則「交際費」
取引先の担当者や顧客に対して感謝の意を示すためにAmazonギフト券を渡した場合、その支出は「交際費」として処理します。交際費は税法上の損金算入に制限があるため、上限額を超えないよう管理が必要です。
交際費の損金算入ルールに注意
資本金1億円以下の法人の場合、年間800万円までの交際費が損金算入可能ですが、大企業には制限が適用されます。Amazonギフト券を贈答品とする場合、この交際費の枠内で適切に処理されているかを確認しましょう。
取引先へのギフト券の提供は「交際費」として処理されます。税法上の制限を意識し、金額と用途の記録を明確に残すことが必須です。
キャンペーン景品としての利用
新規顧客獲得や売上促進を目的としたキャンペーンの景品としてAmazonギフト券を配布する場合、販促費用として扱われます。
広く一般を対象とした場合は「広告宣伝費」
WebサイトやSNSで広く一般の不特定多数の顧客を対象に実施する「購入者抽選キャンペーン」や「アンケート協力者への謝礼」などは、販売促進活動にあたります。この場合の費用は「広告宣伝費」として計上します。
特定の顧客層へのサービスの場合は「販売促進費」
特定の製品を試してもらうためや、既存顧客の囲い込みを目的とした販促策であれば「販売促進費」を用いることもできます。ただし、広告宣伝費と販売促進費は明確な定義がなく、会社として統一した科目を使うのが一般的です。
キャンペーン景品としての利用は広告宣伝活動の一環です。原則として「広告宣伝費」を適用し、効果測定のためにも支出の記録を残しましょう。
もらい受けた場合の処理(法人・個人事業主)
取引先や顧客、または第三者からAmazonギフト券を受け取った場合、これは収益として計上する必要があります。
法人の場合は「雑収入」として計上
法人や会社が事業活動に関連してAmazonギフト券を受け取った場合、これは営業外の収益とみなされます。勘定科目は「雑収入」として処理し、収益として課税対象となります。実際に使用したかどうかに関わらず、受領時点で計上するのが原則です。
個人事業主の場合は「事業主借」または「雑収入」
個人事業主の場合、ギフト券が事業用として受け取った場合は「雑収入」ですが、私的な用途で受け取った場合は、事業用の資金とは区別するために「事業主借」として処理する場合もあります。事業と私的利用の区別を明確にすることが重要です。
ギフト券をもらい受けた際は、その金額を資産計上(現金や貯蔵品)すると同時に、収益として「雑収入」などで確実に処理する必要があります。
税務上の注意点:非課税か課税対象か
Amazonギフト券の経理処理において、特に注意すべきは消費税と源泉所得税の扱いです。
ギフト券の購入は非課税
前述の通り、ギフト券自体は金券であり、購入時には消費税はかかりません(非課税仕入れ)。使用して初めて課税対象の商品やサービスを購入した際に、消費税が発生します。
給与として支給する場合の源泉徴収
従業員へのインセンティブとして給与扱い(給与手当)で支給する場合、それは現物給与とみなされ、源泉徴収の対象となります。ギフト券の額面金額に対して、所得税・住民税の源泉徴収を行う必要があります。
ギフト券の購入は非課税ですが、従業員への支給や使用目的によっては課税対象となります。特に源泉徴収の漏れがないよう、確認を怠らないようにしましょう。
購入時と使用時の具体的な仕訳例
具体的な仕訳を通して、Amazonギフト券の勘定科目の流れを理解しましょう。(購入費用10,000円、現金支払いとする)
【ケース1】ギフト券を購入した時点の仕訳
用途が未定で、将来的に利用するためにギフト券を購入した場合は、資産である「貯蔵品」として計上します。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| XX/XX | 貯蔵品 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
【ケース2】貯蔵品を従業員の福利厚生費として利用した仕訳
上記で購入したギフト券を、全従業員向けのインセンティブとして付与し、福利厚生費として処理する場合の仕訳です。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| YY/YY | 福利厚生費 | 10,000 | 貯蔵品 | 10,000 |
Amazonギフト券の経理処理では、購入時(貯蔵品)と使用時(費用科目)の二段階の仕訳が必要になることを理解しておきましょう。
よくある質問
Amazonギフト券を購入した際に消費税はかかりますか?
いいえ、Amazonギフト券(金券)の購入は非課税仕入れとなります。消費税が課税されるのは、そのギフト券を利用して実際に課税対象の商品やサービスを購入した時点です。
貯蔵品として計上したギフト券は、いつ費用に振り替えれば良いですか?
原則として、ギフト券を実際に使用した時点で、その用途に応じた費用科目(消耗品費、交際費、広告宣伝費など)に「貯蔵品」から振り替える処理を行います。期末に未使用分があれば、そのまま貯蔵品として資産に残します。
従業員に支給するギフト券が「給与手当」になるのはどのような場合ですか?
特定の個人を選抜して支給する場合や、役職や成果に応じて金額が異なる場合、または金額が高額である場合は、給与(現物給与)とみなされます。この場合、所得税の源泉徴収が必要です。
Amazonギフト券の有効期限が切れた場合、会計処理はどうなりますか?
有効期限が切れて使用できなくなった場合、資産価値がゼロになります。貯蔵品として計上していた残高を「雑損失」などの費用科目として処理し、帳簿から除外します。
個人事業主が事業用クレジットカードでギフト券を購入した場合の仕訳は?
購入時は「貯蔵品 / 未払金」とし、実際に使用した際に「(費用科目) / 貯蔵品」で振り替えます。カードの引き落とし時に「未払金 / 普通預金」で処理します。
まとめ
Amazonギフト券の勘定科目は、その用途や取得方法によって多岐にわたります。最も重要なポイントは、「購入時は原則として貯蔵品(資産)」として計上し、「使用時に用途に応じて費用科目へ振り替える」という二段階の処理を徹底することです。
適切な勘定科目の選択基準は以下の通りです。
- 備品・消耗品として使用:消耗品費
- 少額で全従業員が対象:福利厚生費
- 特定の従業員への報奨:給与手当(源泉徴収必要)
- 取引先への贈答:交際費
- 不特定多数へのキャンペーン景品:広告宣伝費
これらのルールに従い、Amazonギフト券の経理処理を正確に行い、税務リスクを回避しましょう。